Mac音声入力の比較|Seam vs SpokenlyのCPU実測
Spokenlyは「わずか2.9MB」のMac向け音声入力アプリを名乗っています。ところが動作中にアクティビティモニタを開くと、まったく別の光景が見えてきます。
2つのmacOSアプリを並べて実測しました。Macの上で実際に何が起きているのかを見ていきます。

要点
SpokenlyのAI機能は充実しています。音声コマンド、GPT-4とClaudeによるテキスト整形、標準で10言語対応。ただし音声入力中のCPU使用率は60.5%に達し、これまでMacで試した音声入力アプリの中でいちばん重い部類です。
Seamの音声入力中のCPU使用率は約12%で、Spokenlyのおよそ5分の1です。処理は100%ローカル、価格は$29の買い切り(サブスクリプションなし)で、音声入力以外にできることも多くあります。MacBookで軽い音声入力が欲しいなら、Seamは有力な代替になります。
かんたん比較
| 項目 | Seam | Spokenly |
|---|---|---|
| 価格 | $29(買い切り) | 無料(ローカル)/月額$7.99(AI機能) |
| 音声入力中のCPU | 約12% | 60.5% |
| 処理 | 100%ローカル | ローカル+クラウド(AI機能) |
| 音声モデル | オンデバイスのローカルモデル | Apple NSSpeechRecognition |
| AIによるテキスト整形 | なし | あり(GPT-4、Claude) |
| 音声コマンド | なし | あり |
| 対応言語 | 25言語 | 10言語 |
| アプリサイズ | 30MB未満 | 37MB |
| 最小macOS | 14 | 14.6 |
| 音声入力以外 | あり(ノッチのハブ全体) | なし(音声入力のみ) |
| サブスクリプション要否 | 不要 | 必要(AI機能) |

Spokenlyはどんなアプリか
Spokenlyは、macOSのメニューバーにすっきりした音声入力のインターフェイスを表示します。

モデルを選んで複数の言語に対応できます。

CPU使用率が示すもの
SpokenlyのApp Storeのページにはダウンロードサイズ2.9MBと記載があります(インストール後のアプリは37MB)。ただ、ダウンロードサイズは動作性能を何も語りません。音声入力中に何が起きるかを見てみます。
音声入力中のアクティビティモニタ


Seam:約12%のCPU
Spokenly:60.5%のCPU
誤植ではありません。音声入力中、SpokenlyはSeamの5倍以上のCPUを使っています。
比較のために書いておくと、VoiceInk、Superwhisper、Fluid Voice、Sottoをはじめ、主要なMac向け音声入力アプリは一通り試してきました。その中でSpokenlyの60.5%は最も高い数値で、しかも差はかなり開いています。
差が生まれる理由
SpokenlyはAppleに標準搭載されているNSSpeechRecognitionフレームワークを使っています。システムAPIなら軽いはずだと思うところですし、基本的な処理では実際に軽く済みます。ただSpokenlyの実装は、処理を止めずに回し続けている、対応10言語にまたがる言語判定をしている、音声コマンドの解析を並行して動かしているといった理由で、フレームワークを強く駆動しているように見えます。
Seamは、より新しく効率のよいオンデバイスの音声モデルを使っています。話し始めたときだけ動き、終われば資源を解放します。バックグラウンド処理はなく、待機中にCPUを食うこともありません。
CPU60%がMacBookにもたらすもの
MacBook Airでは、音声入力中に60%のCPUを使うと次のことが起きます。
- ファンの音:少し長めに音声入力すると、ファンが回り始めます
- バッテリーの消耗:目に見えて減りが速くなります
- サーマルスロットリング:負荷が続くとMacが性能を落とします
- 他のアプリへの影響:音声入力中は他のアプリの動作が鈍ります
約12%のSeamなら、ほとんど存在感がありません。ファンは静かなまま、バッテリーは減らず、Macも熱くなりません。
AI機能:Spokenlyが光るところ
評価すべき点は評価します。SpokenlyにはSeamにない機能があります。
テキストの整形と書式
Spokenlyは、文字起こししたテキストをGPT-4やClaudeに通して、文法を直し、言いよどみを取り除き、体裁を整えられます。話すと話が散らかりがちな人にはとても便利です。雑に話しても、Spokenlyがきれいな文章に仕上げてくれます。
ただし条件があります。これらのAI機能を使うには、自前のAPIキーか月額$7.99のProサブスクリプションが必要です。無料プランはローカルの文字起こしのみで、AIによる整形は含まれません。
音声コマンド
Spokenlyでは、声でアプリを起動したり、Web検索をしたり、macOSのショートカットを実行したりできます。「Safariを開いて」「ベルリンの天気を調べて」と言えばそのまま実行されます。純粋な音声入力アプリの範囲を超えた機能です。
言語対応
10言語(英語、ドイツ語、ロシア語、簡体字中国語、繁体字中国語、フランス語、アラビア語、スペイン語、ヒンディー語、日本語)にローカライズされており、幅広い地域のユーザーに届きます。複数の言語で音声入力する人には効いてくる差です。
Seam:音声入力だけのアプリではない
Spokenlyは音声入力の専用アプリです。Seamは、優れた音声入力を備えた作業効率のためのハブです。
音声入力をしていないとき、Seamのノッチにはこうしたものが表示されます。
- 再生中:アルバムアート、曲情報、再生コントロール
- デバイスの接続:AirPodsのバッテリー残量(左・右・ケース)
- 集中モードの検出:アクセス許可は不要
- Flowタイマー:ポモドーロ形式のセッション
- カレンダーの予定:次の打ち合わせをひと目で
- 音量・輝度のHUD:標準表示の置き換え
- バッテリーの状態:残量低下の警告
$29を一度払えば、これがすべて手に入ります。Spokenlyの場合、AIによるテキスト機能のためだけに毎月$7.99を払い、それ以外はすべて別のアプリが必要になります。
価格の内訳
| Seam | Spokenly | |
|---|---|---|
| ローカル音声入力 | $29(買い切り) | 無料 |
| AI機能 | 該当なし | 月額$7.99 |
| 1年目の費用 | $29 | $95.88(AI込み) |
| 2年目の費用 | $0 | $95.88 |
| 3年間の合計 | $29 | $287.64(AI込み) |
基本的なローカル音声入力だけでよいなら、価格そのものではSpokenlyの無料プランに勝つのは難しいところです。ただAI機能を使いたくなった瞬間から、サブスクリプションは年額$95.88として積み上がっていきます。
Seamは$29の買い切りで、音声入力に加えてノッチの作業効率ツール一式が付いてきます。継続課金も、機能の出し惜しみもありません。
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プライバシーとアクセス許可
Spokenlyはマイクと音声認識のアクセス許可を求めます。ローカルの音声入力モードでは音声はデバイス内に留まります。AI機能はテキスト(音声ではありません)をOpenAIまたはAnthropicのサーバーに送って処理します。文字起こしの履歴はローカルに保存されます。

Seamはすべての処理をMacの中で行います。音声入力中にネットワーク通信は発生せず、文字起こしの履歴もどこにも送られません。音声モデルは完全にオンデバイスで動きます。音声データがマシンの外に出ることは一切ありません。
どちらのアプリもDockアイコンのないメニューバーユーティリティとして動くので、作業環境はすっきりしたままです。
インストールと配布
SpokenlyはMac App Store経由で配布されており、Appleの審査を通り、サンドボックス化されています。インストールは検索してダウンロードして開くだけ。更新もApp Storeが自動で行います。
SeamはAppleの署名と公証を受けたうえで直接配布しています。DMGをダウンロードし、アプリケーションフォルダーにドラッグして開きます。Homebrewからも入れられます(brew install --cask seam-app)。更新は内蔵の更新機能が担当します。
どちらもすっきりインストールできます。セキュリティ設定の回避はどちらにも必要ありません。
Spokenlyが向いている人
次に当てはまるならSpokenlyを選んでください。
- AIによるテキスト整形が必要:GPT-4/Claude連携で、散らかった話し言葉が読める文章になります
- 音声コマンドを使う:声でアプリやショートカットを起動できるのは独自の強みです
- 複数の言語で音声入力する:自動判定付きの10言語対応です
- App Store経由がいい:Appleの審査とサンドボックスを重視する場合
- 音声入力しか使わない:そしてCPU負荷が気にならない場合
Seamが向いている人
次に当てはまるならSeamを選んでください。
- 動作の軽さを重視する:約12%と60.5%の差は決定的です
- バッテリー駆動で作業する:CPUを使わないぶん、バッテリーが長持ちします
- サブスクリプションが嫌い:$29買い切りか、月額$7.99を払い続けるかの違いです
- 音声入力以外も欲しい:音楽、デバイス、集中モード、カレンダー、Flowタイマー
- プライバシーを優先する:100%オンデバイスで、クラウド処理は一切ありません
- Macを重い用途で使う:音声入力に60%のCPUを取られると、他に回せる余地がほとんど残りません
結論
SpokenlyとSeamは、同じ課題に違う方法で答えています。SpokenlyはAI機能に賭けていて、その出来は良いものです。文字起こしの整形にGPT-4が必要なら、あるいは声でアプリを起動したいなら、Macで同じことができるアプリは他にありません。
ただ、SpokenlyのCPU使用率は実害のある問題です。音声入力中の60.5%は、これまで試したどの音声入力アプリよりも高い数値です。わずかな差ではなく、Seamの5倍です。ファンのないMacBook Airでは、この負荷が続くとすぐに不快になります。バッテリー駆動のノートであれば、どの機種でも高くつきます。
Seamは逆の方向を選びました。速く、軽く、ローカルで、それだけです。キーを押して、話して、離す。1秒とかからずにテキストが現れます。CPUはほとんど気づきません。そして音声入力をしていないときは、ノッチが音楽・デバイス・集中モード・タイマーなどを表示します。すべて$29の買い切りです。
AIによるテキスト整形が仕事に欠かせないなら、Spokenlyが応えてくれます。それ以外のすべてにおいては、SeamのほうがMacの音声入力体験として優れています。
よくある質問
Spokenlyは本当に2.9MBですか
App Storeの圧縮済みダウンロードは2.9MB程度かもしれませんが、インストール後のアプリは37MBです。そもそもダウンロードサイズは実行時の性能を何も示しません。Spokenlyは音声入力中に60.5%のCPUを使い、これは試したどのMac向け音声入力アプリよりも高い数値です。
Spokenlyはオフラインで使えますか
基本的な音声入力なら使えます。SpokenlyのローカルモードはAppleのNSSpeechRecognitionフレームワークを使っていて、インターネット接続は不要です。AIによるテキスト整形(GPT-4、Claude)はインターネットに加えて、自前のAPIキーかProサブスクリプションが必要です。
Seamは音声入力だけのアプリですか
違います。SeamはMacBookのノッチに常駐する作業効率のハブです。音声入力は数ある機能の一つで、ほかに再生中のコントロール、AirPodsのバッテリー監視、集中モードの検出、Flowタイマー、カレンダーの予定、音量・輝度のHUDがあります。
認識精度はどちらが上ですか
どちらも音声入力として十分な精度が出ます。Seamは自動言語判定付きで25言語に対応、Spokenlyは10言語に対応しています。多言語で使う人にとって、どちらも堅実な選択肢です。
SpokenlyのAI機能を自前のAPIキーで使えますか
使えます。SpokenlyはOpenAIやAnthropicのAPIキーの持ち込みに対応していて、AIによるテキスト処理のための月額$7.99のサブスクリプションを回避できます。APIの利用料はトークン単位で発生しますが、使用量が少なければこちらのほうが安くなります。
Seamを試してみますか:SeamをMacにダウンロード。買い切り、サブスクリプションなし、CPU約12%です。
AI音声入力が欲しいですか:Spokenlyを入手。GPT-4とClaude連携の強力なAI機能があります。
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