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Spokenly vs VoiceInk:Mac音声入力アプリ実測比較

2026年のMac音声入力アプリ、SpokenlyとVoiceInkの比較

SpokenlyとVoiceInkは、いま最も人気のあるMac向け個人開発の音声入力アプリです。どちらもmacOS専用で、オフラインでの音声入力を掲げ、Apple Silicon上で動作し、開発者はいずれも個人。では、実際に使うならどちらを選ぶべきでしょうか。

M3 MacBook Proで両方を検証し、精度・CPU使用率・プライバシー・価格・日常的な使い勝手まで比較しました。その結果と、見落とされがちな第三の選択肢を紹介します。

目次:

オンデバイス文字起こしのために録音中のSeam。マイクインジケーターが点灯している

要点まとめ

Spokenlyは機能が最も豊富です。AIによるテキスト整形、音声コマンド、開発者向けのMCPサーバー、100以上の言語に対応しています。ただし音声入力中のCPU使用率は60%に達し、クラウド機能を使うには月額$9.99のサブスクリプションが必要。無料枠は自分のAPIキーを持ち込む前提です。

VoiceInkは低予算向けの選択肢。買い切り$25、オープンソースで、whisper.cppによる完全オフライン動作です。ただし作り込みは粗く、多言語判定に問題があり、フィラー語の削除以外に後処理はありません。

どちらも音声入力以外は何もしません。 音楽コントロールやカレンダーの予定、システムHUDと並んで、MacBookのノッチの中で音声入力を使いたいなら、買い切り$29のSeamを検討する価値があります。個別の比較記事としてSeam vs SpokenlyとSeam vs VoiceInkも用意しています。

一覧比較

FeatureSpokenlyVoiceInkSeam
価格無料(機能制限)/月額$9.99買い切り25〜$49買い切り$29
処理方式ローカル+クラウド100%ローカル100%ローカル
音声モデルWhisper+Parakeet(ローカル)、OpenAI/Deepgram(クラウド)whisper.cppParakeet TDT V3(CoreML)
音声入力中のCPU約60%約25〜35%約12%
対応言語100以上100以上25
AIテキスト整形あり(GPT-4、Claude)簡易的スマート後処理
オープンソースなしありなし
MCPサーバーありなしなし
音声入力以外の機能なしなしあり(10以上)
録音中の表示メニューバーアイコンメニューバーアイコンMacBookのノッチ
サブスクリプションあり(Pro)なしなし

Seamの音声設定。オンデバイスでの文字起こし、押して話す操作、マイクの選択

Spokenly:機能は豊富、リソースは重い

SpokenlyはMac向け音声入力アプリの中で最も野心的な一本です。開発者のVadim Ahmerov氏は、音声コマンド、GPT-4とClaudeによるAI後処理、自分のAPIキーで無料のクラウド文字起こしを使えるBYOKモデル、さらにClaude CodeやCursorといったコーディングツールに音声入力を流し込むMCPサーバーまで作り込んでいます。配布元はspokenly.appです。

Spokenlyの優れている点

  • AIテキスト整形:入力したままの文章をGPT-4やClaudeが整え、文法修正・書式調整・トーンの調整まで行います。メールやドキュメントの作成には実用的です。
  • 開発者向けMCPサーバー:ポート51089でローカルサーバーを動かし、AIコーディングエージェントと連携します。音声でコードの指示を出すなら明確な差別化要因です。
  • BYOKによるクラウド文字起こし:OpenAI・Deepgram・GroqのAPIキーを持ち込めば、クラウドモデルを無料で使えます。価格設計として巧みです。
  • エージェントモード:音声によるmacOSの自動操作。アプリの起動、Web検索、ショートカットの実行ができます。

Spokenlyの弱点

  • 音声入力中のCPU使用率60%:アクティビティモニタで実測した値です。これまで検証したMac向け音声入力アプリの中で最も高く、MacBook Airならファンが回り出します。
  • Proは月額$9.99:無料枠は開発者にとっては十分(BYOK+MCP)ですが、単に安定した音声入力が欲しいだけの人はすぐに有料の壁に当たります。
  • iOS版の不具合:カスタムキーボードの実装には、アプリが勝手に切り替わる、入力内容が消える、特定アプリで動作が安定しないといった既知の問題があります。macOS版のほうがはるかに完成度は高いです。

VoiceInk:安価で機能は最小限

VoiceInkは正反対のアプローチです。開発者のPrakash Joshi Pax氏はシンプルなオフライン音声入力アプリを作り、2025年3月にGitHubでオープンソース化しました。やることはひとつ、whisper.cppでローカルに音声をテキストへ変換することだけです。

VoiceInkの優れている点

  • 買い切り価格が最安:Mac1台で$25。サブスクリプションは一切ありません。
  • オープンソース:コードを自分で監査できます。プライバシーの主張が宣伝文句ではなく検証可能です。
  • ユーザー辞書:専門用語や人名を登録できます。特定分野の作業では有用です。
  • パワーモード:長時間の音声入力に向けた文字起こしの強化機能です。

VoiceInkの弱点

  • 多言語判定の問題:ローカルのParakeetモデルが言語を誤判定し、英語に戻ってしまうことがあります。App Storeのレビューでも複数のユーザーが報告しています。
  • AI後処理がない:モデルの出力がそのまま結果になります。文法の整形も書式調整もなく、ユーザー辞書以外に文脈を汲む仕組みもありません。
  • 作り込みが粗い:Spokenlyの洗練されたインターフェースやSeamのノッチ統合と比べると、VoiceInkは実務的な道具という印象です。動きますが、心地よさはありません。
  • iOS版は実用的でない:iOSアプリは存在しますが、認識精度はmacOS版よりかなり劣ります。

CPU使用率:見えないコスト

比較が面白くなるのはここからです。3つのアプリすべてに同じ条件(60秒間の連続発話)で音声入力させ、アクティビティモニタで計測しました。

AppCPU During DictationCPU at Idle
Spokenly約60%約2%
VoiceInk約25〜35%<1%
Seam約12%<1%

SpokenlyのCPU使用率はSeamの5倍です。MacBook Airではファンの音、バッテリーの消耗の速さ、長時間の音声入力中のサーマルスロットリングとして表れます。

VoiceInkは中間です。whisper.cppの実装は妥当ですが、CPUではなくApple Neural Engineで動くSeamのCoreMLパイプラインほど最適化されてはいません。バッテリー駆動時間を重視するなら(MacBookなら重視すべきです)、SpokenlyとVoiceInkの比較で最も重要な数字はこれです。

プライバシー:3つともローカル優先

3つとも100%オフラインで動作できますが、細部に違いがあります。

  • Spokenly:既定はローカル処理ですが、AIテキスト整形はOpenAI/AnthropicのAPIを経由します。BYOKを使う場合、音声はローカルに残るものの、テキストは処理のためにMacの外へ出ます。完全ローカルモードにAI整形はありません。
  • VoiceInk:常に100%ローカル。オープンソースなので検証できます。クラウド機能は一切ありません。
  • Seam:常に100%ローカル。クラウドという選択肢自体がありません。音声はCoreMLで端末内処理され、Macの外に出ることはありません。

プライバシーを最優先するならVoiceInkとSeamが有力です。VoiceInkはソースコードを検証できる点で一歩リードしています。

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精度:文字起こしの品質は

3つともWhisper系のモデルを使うため、素の精度は近い水準です。差が出るのは後処理です。

  • Spokenly(AIあり):総合精度は最も高く、残った誤りをGPT-4やClaudeが直します。ただしクラウド接続とProのサブスクリプションが必要です。
  • Spokenly(ローカルのみ):VoiceInkと同程度。実用的ですが整形はされません。
  • VoiceInk:素の精度は良好で、フィラー語の削除もあります。ユーザー辞書が専門用語に効きます。
  • Seam:素の精度に加えてスマート後処理があります。読み上げた数値の正規化(「23パーセント」を「23%」に)、フィラー語の削除、重複の除去、カスタム辞書。すべてローカルで動きます。

音声入力以外はどうするのか

音声入力アプリの比較記事は、当たり前の点を見落としがちです。Macで必要な機能のうち、音声入力はひとつにすぎません。

Seamの文字起こし設定。認識する言語、フィラーワードの除去、ユーザー辞書

SpokenlyとVoiceInkは単機能のアプリです。音声入力しかしません。つまり次のような用途には別のアプリが必要になります。

  • 次の予定をひと目で確認する
  • 音楽の再生をコントロールする
  • 2012年製に見えない音量・輝度のHUDを表示する
  • バッテリー状態を把握する
  • タイマーで集中時間を管理する

Seamはこれらをまとめてノッチに収めます。 音声入力は10以上ある機能のひとつで、すべて同じインターフェースから使えます。録音インジケーターはノッチの中に常に見えていて、メニューバーアイコンの陰に隠れることはありません。

ノッチであることの利点

Seamで音声入力を始めると、MacBookのノッチにアニメーションするオーブとリアルタイムの波形が現れます。録音中かどうかが常にわかります。文字起こしが終わると、結果はそのままアクティブなアプリへ流し込まれます。

SpokenlyとVoiceInkはどちらもメニューバーアイコンを使います。小さく、見落としやすく、他のアイコンと場所を奪い合っています。「まだ録音中だっけ」と迷ったことがあるなら、ノッチのインジケーターがそれを解決します。詳しくはSeamの音声入力機能をご覧ください。

価格の内訳

Spokenly FreeSpokenly ProVoiceInk SoloVoiceInk ExtendedSeam
費用$0月額$9.99(年$120)$25$49(Mac3台)$29
課金形態無料サブスクリプション買い切り買い切り買い切り
使えるものローカル音声入力+BYOKクラウドAI+全機能音声入力のみ音声入力のみ10以上の機能

2年間で見ると、Spokenly Proは$240、VoiceInk Extendedは$49、Seamは$29です。

音声入力を含む選択肢としてSeamが最も安く、しかもノッチに収まった一式の作業支援機能が付いてきます。他のMacノッチアプリとの比較はMacノッチアプリのおすすめガイドにまとめています。

どれを選ぶべきか

Spokenlyが向いている人

  • MCP経由でClaude CodeやCursorに音声入力したい開発者
  • AIによるテキスト整形が欲しく、月額課金も許容できる
  • 自動判定を含む100以上の言語に対応してほしい
  • 音声コマンドでmacOSの操作を自動化したい

VoiceInkが向いている人

  • とにかく安くオフライン音声入力を使いたい
  • オープンソースとコードの検証可能性を重視する
  • 専門用語のためのユーザー辞書が必要
  • 買い切りで機能は最小限でよい

Seamが向いている人

  • 音声入力に加えて10以上の機能をひとつのアプリで使いたい
  • CPU使用率とバッテリー駆動時間を重視する
  • 録音インジケーターをノッチに置きたい。メニューバーに埋もれさせたくない
  • 買い切りで、しかも最も安い価格帯がよい
  • クラウドAIなしでスマートな後処理(数値の正規化、フィラー語の削除)を使いたい

FAQ

Macの音声入力にはSpokenlyとVoiceInkのどちらが良いですか

必要なものによります。AIによるテキスト整形やMCPサーバーのような開発者向け機能が欲しいならSpokenly、買い切りで最も安く、オープンソースの透明性が欲しいならVoiceInkです。性能・機能・価格のバランスで選ぶなら、Seamは$29で音声入力に加えてMacの作業を助ける10以上の機能を備えています。

SpokenlyとVoiceInkはオフラインで使えますか

はい。どちらもApple Silicon上のローカルWhisper系モデルによるオフライン音声入力に対応しています。SpokenlyのAIテキスト整形(GPT-4、Claude)にはインターネットが必要ですが、音声入力そのものはオフラインで動きます。VoiceInkはクラウド機能を一切持たない100%オフラインです。

CPU使用率が最も少ないMacの音声入力アプリはどれですか

検証では、音声入力中のCPU使用率はSeamが約12%、VoiceInkが約25〜35%、Spokenlyが約60%でした。SeamはParakeet TDT V3モデルをCoreML経由でApple Neural Engine上で動かすことで、CPU負荷を抑えています。

VoiceInkは本当にオープンソースですか

はい。VoiceInkのソースコードはオープンソースライセンスでGitHubに公開されています。コードを監査してプライバシーの主張を確認できます。開発者のPrakash Joshi Pax氏が2025年3月にオープンソース化しました。

SpokenlyはiPhoneでも使えますか

SpokenlyにはiOSアプリがありますが、既知の問題を抱えています。カスタムキーボードが意図せずアプリを切り替えたり、入力内容が消えたり、特定のアプリで動作が安定しなかったりします。macOS版のほうが完成度は大幅に上です。VoiceInkのiOSアプリもMac版に比べると力不足です。

結論

Spokenlyはパワーユーザー向けの選択肢です。CPU使用率とサブスクリプション費用を許容できるなら。VoiceInkは低予算のオープンソース枠で、堅実ですが機能は基本的です。

ただ一歩引いて「2026年のMac音声入力アプリとして最も価値が高いのはどれか」と考えると、Seamを外す理由は見つけにくいはずです。スマートな後処理を備えた高速な端末内音声入力、ノッチの視覚インジケーター、そして作業を助ける機能一式が、VoiceInkの最安プランより安く手に入ります。

Seam for Macをダウンロードして、MacBookでの音声入力が本来どうあるべきかを確かめてください。


最終更新:2026年3月。macOS 15を搭載したApple Silicon Macで、各アプリの最新版を検証しています。

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